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ミャンマー国軍が告訴取り下げへ 「エヤワディ」編集者のラカイン州ルポ巡り 報道評議会の調停で
配信日時:2020年3月18日 17時15分 [ ID:6231]

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刑事手続きが中止される見通しとなったエヤワディのイエニー氏(ヤンゴン、撮影:北角裕樹)

 2020年3月18日、ミャンマーの老舗メディア「エヤワディ」のシニア編集者のイエニー氏がミャンマー国軍から告訴され、裁判の手続きが始まった事件について、国軍側が告訴を取り下げる意向であることがわかった。ミャンマー報道評議会が同日記者会見し、国軍側から告訴を取り下げるとの書簡を受けとったことを明らかにした。このほか、国軍はロイター通信を訴えていた事件でも、告訴を取り下げるという。

 イエニー氏は昨年4月にエヤワディのニュースサイトに掲載したラカイン州内戦のルポが問題とされ、国軍側から電気通信法66条d項(サイバー空間での名誉棄損)によって告訴され、3月30日に予備審問が始まる予定となっていた。また、1月にロイター通信が配信した、国軍の砲撃によりイスラム系住民ロヒンギャに2人の死者が出たとするニュースが誤りだとして、国軍側が3月にロイター通信と取材に答えた議員を同法で告訴していた。いずれも、告訴の取り下げにより刑事手続きが止まる見通しだ。

 ミャンマー報道評議会は、メディア法に基づいて設立された報道関係者や有識者らによる組織で、報道を巡って紛争があった場合に調停を行なう。国軍側は、告訴取り下げの理由を「同評議会のあっせんによる」としており、詳細を明らかにしていない。

 ミャンマーの言論の自由を巡っては2019年の春ごろ、国軍側が人権派映画監督のミンティンココジー氏や、タンジャ劇団の「ピーコックジェネレーション」のメンバー、エヤワディのイエニー氏らを立て続けに告訴。国軍主催の記者会見でも記者らに警告を発するなど、国軍への批判に対する締め付けを強化していた。

【取材/執筆:北角裕樹】

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