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日本・カンボジア友好橋大改修ー完成は2019年6月
配信日時:2017年11月10日 9時15分 [ ID:4698]

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大林組チュルイ・チョンバー工事事務所 辻本邦男所長

 2017年10月20日、JICAカンボジア事務所が発行する「カンボジアだよりNo74」に「JICAプロジェクト 日本・カンボジア友好橋を大改修 2019年6月に完成予定」と題する記事が掲載された。

(記事)プノンペンの北、トンレサップ川にかかるチュル イ・チョンバー橋は、「日本・カンボジア友好橋(日本橋)」と呼ばれ、交通の要所となっています。両国友好のシンボルでもあるこの橋。10月1日より改修のため一時閉鎖されましたが、なぜ大改修が必要なのか、事業を担う大林組チュルイ・チョンバー工事事務所の辻本邦男所長に伺いました。

◆なぜ改修が必要なの?

日本橋は、内戦前の1963年に日本の資金を活用して建設されましたが、内戦中に爆破されて落橋し、長い間、通行ができなくなっていました。現在の橋は1992年に日本の援助により落橋部分を作り直したもので、「日本・カンボジア友好橋」とシアヌーク前国王に名付けられました。日本の外務省によると、シハヌーク前国王は内戦終結後の復興会議で、「日本橋をまず修復したい」と日本側に要請したのだそうです。「辛い戦争の記憶を遠ざけ、新しい国を造っていこう、それには戦争による破損の象徴たるあの橋を作り直すことだ」との思いがあったといいます。1992年に日本の無償資金協力で改修された日本橋 ですが、それからさらに25年がたちました。復興を 遂げたカンボジアは経済成長の時代を迎え、日本橋 もプノンペンと地方を結ぶ交通・物流の要所となりました。2012年の交通量は2004年と比べて2倍に増え、本来の橋のキャパシティを3割上回っています。また、橋がボトルネックとなり渋滞が発生、住民生活にも支障をもたらすようになりました。2014年には日本橋に並行する形で中国の借款による第二橋が完成し、渋滞の緩和が図られましたが、これからもより安全な通行を確保するために、日本橋の全面的な改修をすることになりました。

◆どんな修理をするの?

日本橋は、川の上を通る中心部分の「鋼橋」と、そこへ至るまでの地上のアプローチ部分の「プレス トレスト・コンクリート(PC)橋」からから成り立っています。このうち戦争で破壊された265mの鋼橋部分は、1992年に改修されました。今回は、50年以上前からそのままであるPC橋部分を架け替え、全体の道路舗装や鋼橋塗装を再施工することが主な 改修点となります。辻本さんによると、今回の改修には日本の技術が使われます。まず塗装。外面の塗装をはがすだけで8カ月かかりますが、この時に環境に優しい「循環式エコクリ ーンブラスト工法」を使います。塗装をはがすには、小さな鋼片を強く吹き付けて削りとりますが、通常、この鋼片は一回限りで使い捨てです。しかし今回は、使用した鋼片から塗装片だけを取り除き、鋼片を何度も再利用する技術を採用したので産業廃棄物を格段に減らすことができます。また、道路の舗装には「SFRC舗装」という鋼繊維で補強したコンクリートを使います。通常の「鉄筋コンクリート」の鉄筋の代わりに鋼繊維を使用します。カンボジア国内での道路舗装には初めての使用となるそうです。現橋は、鋼床版と呼ばれる鉄板の上にアスファルト舗装のみで施工されていますが、アスファルトよりも固い(剛性のある)SFRC舗装をアスファルト舗装の下層に敷くことで、車両による道路にかかる重さを分散することができ、橋を長持ちさせたり、より重い車を通したりすることができるようになります。

◆修理後の姿は?

修理後、新しい日本橋は「青い橋」になる予定です。辻本所長は「工事にあたっては騒音や振動、粉塵で住民のみなさんにご迷惑 がかからないよう最大限に配慮します。工事を安全にスムーズに行うと同時に、一緒に働くカンボジアの仲間たちに、こうした環境配慮や、施工計画、施工管理、安全・品質など言葉だけでは伝えきれない技術や考え方を手渡すことができたら、と思っています」と話しています。

【編集:TY】

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