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【ミャンマー】スーチー顧問が謝罪 新型コロナ対策で混乱招き「全工場翌日から停止」
配信日時:2020年4月27日 7時15分 [ ID:6337]

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セミロックダウンされ営業していないインセイン郡区の屋台(撮影:リンニャントゥン)

 2020年4月22日、ミャンマーでも広がりを見せる新型コロナウイルスに対する政府の対策について、アウンサンスーチー国家顧問兼外相が国民に混乱を招いたことを謝罪したことが、話題を呼んでいる。軍事政権時代が長かったミャンマーでは、政府高官が謝罪することは異例。翌日から全工場をいったん閉鎖するように指定したことなどで、国民の間に混乱が広がっていた。

 ミャンマーの保健スポーツ省は、4月18日、ヤンゴンのインセイン郡区やバハン郡区など感染者が比較的多い7つの地区に対して「セミロックダウン」を通達し、住民の外出を罰則付きで禁止。また、19日には労働入国管理人口省が、連休明けの翌20日から全国の工場などの操業を再開せず一時停止し、感染防止策についての当局の検査を受けた後に再開するとする通達を発表している。

 しかし、セミロックダウンについては、公務員や会社員らを例外としたうえ、検問があるわけでもなく、普段通り家から出る人も多かった。そのため「実際どうすればいいのか」「意味がないのではない」との戸惑いの声が噴出した。また、工場への通達についても、「翌日から操業停止なんてできない」「うちの会社のオフィスは含まれるのか」など混乱が広がった。通達を知らずに出勤した労働者や、すぐに操業停止ができない例も多かった。こうした一般市民には理解しづらく、実現が難しい通達が乱発されたため、国民の反発を生んでいた。

 こうした混乱に対して、スーチー顧問は22日の縫製工場の関係者や労働者とのインターネット会議の生中継で、「発表を急いだためにミスが生じた。申し訳ない」と謝罪。そのうえで、国民に改めて政府の対策に協力するように要請し、違法行為があれば罰すると警告した。

 ミャンマーでは、1962年のクーデター以降の軍事政権が続き、2016年にスーチー顧問が事実上の最高政権力者となっても、政府高官が謝るのはめったに見られないことだった。スーチー顧問は、新型コロナ対策として、4月からフェスブックを活用し、自らが参加する政府の会議を生中継で公開している。

【取材/執筆:リンニャントゥン】

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