中国の「渡航制限」検討に見る圧力外交の常套手段、日本の対中姿勢転換との評価

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中国の「渡航制限」検討に見る圧力外交の常套手段、日本の対中姿勢転換との評価
配信日時：2025年11月18日 11時00分 [ ID:10591]

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　高市総理の台湾有事「存続危機」発言に対し、中国当局が日本への渡航を制限する可能性を示唆するなど、異例の強硬な反応を見せている。政治的メッセージに即座に経済的・人的交流の制限という形で報復する中国の行動は、国際社会で常態化しつつある「経済的威圧(Economic Coercion)」の常套手段を露呈した形だ。一方で、日本の指導者が安全保障上のレッドラインを明確に示したことについて、「これまでの弱腰外交から筋を通す方向への脱皮」と高く評価する専門家の見方が浮上している。

　政治的異論に「経済報復」で応じる中国の威圧的な行動パターン

　中国当局は、高市総理が台湾有事の際、日本の平和と安全に重要な影響を与える「存続危機事態」になり得るとの私見を述べたことに対し、強い不快感を示した。具体的な行動として、中国国民に対し日本への渡航を控えるよう呼びかけ、近く渡航禁止に踏み切る可能性まで示唆している。一部の中国系航空会社は、既にキャンセル料不要での航空券払い戻しを発表するなど、政府の意向を先取りする形で事実上の制限措置が動き出している(Global News Asia報道)。

　中国が渡航制限の理由として挙げたのは、「日中間の人的交流の状況が急激に悪化し、中国人民の身体と生命の安全に重大なリスクが生じたため」というものだ。しかし、これは日本の指導者の安全保障に関する発言を、一方的に「露骨な挑発」と断じ、外交上の不満を経済活動の制限という形で表出させるための口実に過ぎないと見るのが国際政治学界の共通認識だ。

　中国はこれまでも、オーストラリア産ワインへの高関税賦課、リトアニア産製品の通関停止など、政治的対立を貿易や人的交流の制限に直結させる手法を繰り返してきた。この一連の威圧的な行動パターンは、他国の内政や外交政策に圧力をかけ、自国の望む政策変更を強要することを目的としている。今回の日本への対応も、自国の「核心的利益」に触れる発言を許さないという強硬姿勢を、経済的な打撃を伴う形で相手国に突きつける狙いがある。

　高市発言は「脱・弱腰」外交の狼煙と評価

　こうした中国の圧力に対し、日本国内の安全保障専門家や国際関係の識者からは、高市総理が台湾有事に対する日本の明確な立場を示したこと自体を、ポジティブに評価する声が上がっている。

　これまでの日本の対中外交は、中国との経済的関係を重視するあまり、台湾問題や尖閣諸島問題といった核心的な安全保障課題について、「戦略的曖昧さ」の名の下でメッセージ発信を抑制する傾向にあった。この「弱腰」とも批判された外交姿勢は、中国側に対して日本の譲れない一線が見えにくいというリスクをはらんでいた。

　複数の安全保障専門家は、高市氏の「存続危機」発言は、中国の軍事行動が日本の平和と安全に直接的な影響を与えることを認め、集団的自衛権の行使につながり得る可能性を公的に示唆した点で画期的だと指摘する。

　ある国際政治学の教授は、「高市総理の発言は、これまでの弱腰外交から、国益に基づき、国際的な法と原則に則って筋を通す方向への明確な脱皮と高く評価できる」と分析する。

　経済的な報復措置を恐れて重要な安全保障上の論点を回避するのではなく、毅然として日本の立場を内外に発信することは、中国に対する「抑止力」の強化に不可欠だという見解だ。専門家は、短期的な経済摩擦のリスクは伴うものの、長期的には「曖昧な態度こそが誤解を招き、却って有事のリスクを高める」として、今回の政府指導者の明確な姿勢を支持している。

　日本政府は今後、中国の圧力に対し、国際的なルールに基づいた対応を求めるとともに、G7をはじめとする同志国との連携を深め、経済的威圧に対抗する枠組みの構築を急ぐ必要に迫られている。

【編集：YOMOTA】