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中国経済「崩壊」の足音 富裕層、都心マンションを投げ売り
配信日時:2026年1月16日 6時00分 [ ID:10813]

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 中国経済の減速が「失速」の段階を越え、構造的な崩壊局面に入りつつある。その余波は海を越え、日本の不動産市場にも押し寄せている。かつて都心の高級マンションを席巻した中国富裕層による「爆買い」は鳴りを潜め、現在は一転して、資金繰りに窮した彼らによる「投げ売り」が顕在化している。不動産バブルの崩壊と地方政府の財政危機が、中国の「中堅富裕層」を未曽有の苦境に陥れている。

 地方財政の破綻と「罰金行政」の暴走

 中国経済の苦境の根底にあるのは、不動産依存モデルの完全な破綻だ。2021年の不動産大手・恒大集団の経営危機以降、土地の売却収入に頼ってきた地方政府の財政は火の車となっている。歳入の約半分を土地関連収入に依存する地域も珍しくなく、その枯渇は公共サービスの維持を困難にしている。

 かつて高成長を誇った広東省深セン市では、地下鉄事業までもが赤字に転落した。背景には、働き盛りの世代が職を失い、故郷へ戻る「逆流現象」がある。窮した地方政府は、公務員の給与確保や債務返済のため、無理な地方債の発行を強行。これが民間への資金供給を阻害する「クラウディング・アウト」を引き起こし、実体経済を窒息させている。

 さらに深刻なのは、政府によるなりふり構わぬ搾取だ。地方当局が財源不足を補うため、商店や民間企業に対し、衛生基準違反などを名目に法外な「罰金」を課すケースが急増している。これに耐えかねた店主たちが一斉に店を閉める「シャッター街」の現出は、もはや中国全土で見られる光景となった。

 「避難生活」から一転、資産回収へ急ぐ富裕層

 これまで、中国でビジネスを手がける富裕層にとって、日本の不動産は「資産の安全地帯」だった。共産党による強権政治や経済不安から逃れるため、都心や湾岸エリアの高級物件を数億円の現金で即決購入し、家族を住まわせる「避難生活」が常態化していた。

 しかし、その牙城が今、本国での経営不振によって崩れている。自らの事業が立ち行かなくなり、運転資金や住宅ローンの支払いに窮した富裕層が、手持ちの日本物件を急いで現金化しようと動き出しているのだ。

 都心のある物件では、これまで年に数件程度だった売り出し件数が、一気に20件以上に跳ね上がる異常事態も確認されている。また、東京五輪の選手村跡地として注目を集めた「晴海フラッグ」などの人気物件でも、大量の換金売りや貸し出し物件の急増が目立っており、需給バランスの崩壊を予感させている。

 世界へ波及する不況の連鎖

 この現象は日本に限った話ではない。米国や欧州、オーストラリアなどでも、中国系投資家が不動産ポートフォリオを慌てて処分する動きが報じられている。本国でのビジネス破綻という「火」を消すために、世界各地に分散していた資産を投げ売りせざるを得ないほど、事態は切迫しているといえる。

 日本の実需層にとっては、外圧による不動産価格の異常な吊り上がりから解放される期待もある。しかし、中国マネーの急速な引き揚げが、日本の不動産市場全体を冷え込ませるリスクも孕んでいる。

 中国政府は超長期の特別国債発行などで延命を図るが、もはや小手先の対策で経済の構造的欠陥を埋めることは不可能に近い。中国の富裕層が「避難先」を売り払ってまで本国へ資金を戻さざるを得ない現状は、隣国の経済危機が最終局面に差し掛かっていることを雄弁に物語っている。

【編集:af】

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