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中国経済危機の表面化! 海外への団体旅行者も減少
配信日時:2023年7月25日 18時00分 [ ID:9091]

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 中国経済は2023年上半期に8.1%成長したが、下半期に入ってからは急速に失速している。国内需要が不足し、海外からの圧力も強まっている。中国政府は景気対策を打ち出しているが、効果は限定的だ。中国経済の危機は深刻化しており、世界経済にも影響を及ぼしそうだ。海外旅行熱は高いものの、将来への不安から海外旅行を躊躇する人々が急激に増えた。

国内需要の低迷

 中国経済の最大の弱点は国内需要だ。消費者信頼感は低下し、個人消費は伸び悩んでいる。特に自動車や家電などの耐久消費財の購入意欲が低い。中国政府は自動車購入を喚起するために税優遇措置を延長したり、電気自動車(EV)充電コストを引き下げたりするなどの措置を発表したが、市場は懐疑的だ。EV普及にも課題が多く、インフラ整備やバッテリー供給などが不十分だ。

 また、住宅市場も冷え込んでいる。不動産開発企業の借金問題や規制強化などが影響し、住宅価格や販売量が下落している。中国政府は不動産企業の未返済ローンに関して延長の交渉に応じるよう金融機関に促したり、大都市の再開発を支援したり3するなどの対策を打ち出したが、過剰供給や資金繰り難などの問題は解決されていない。

 さらに、投資も低迷している。民間企業は事業環境の悪化や規制強化などにより投資意欲が低下している。中国政府は民間企業を国有企業と同等に扱い、主要産業への投資を民間企業に奨励する計画を発表したが、民間セクターへの信頼回復には時間がかかりそうだ。

海外からの圧力

 中国経済は海外からも圧力を受けている。米国との貿易摩擦や技術戦争は続いており、中国製品への関税や制裁措置が相次いでいる。特に半導体不足は中国経済に大きな打撃を与えている。半導体はスマートフォンやパソコンなどの電子機器やEVなどの自動車に欠かせないキーディバイスだが、中国は半導体の自給率が低く、米国や台湾などの海外からの輸入に頼っている。しかし、米国は中国への半導体輸出を制限しており、台湾では水不足やコロナ禍などにより生産が滞っている。中国は半導体産業の自立を目指しているが、技術的な遅れや資金不足などの課題が多く、短期的な解決策にはならない。

社会的不安

 中国経済の失速は社会的な不安をもたらしている。特に若者層は就職難や所得格差などに悩んでいる。2023年には900万人以上の大学卒業者が就職市場に参入するが、求人数は減少傾向にある。また、高齢化や少子化などにより社会保障費が増加しており、若者層は将来の年金や医療費などに不安を感じている。さらに、不公平社会への不満も高まっている。共産党幹部や富裕層と一般市民との間には財産や権力の格差が広がっており、腐敗や利権などの問題も深刻だ。

 中国政府は社会的不安を抑えるために、「共同富裕」というスローガンを掲げており、所得分配改革や社会保障制度改革などを進めている。しかし、これらの改革は長期的な視点で行われるものであり、短期的な効果は期待できない。また、改革に伴うコストや利害関係も無視できない。

まとめ

 中国経済は2023年下半期に入ってから急速に失速しており、国内需要の低迷と海外からの圧力に直面している。中国政府は景気対策を打ち出しているが、効果は限定的だ。中国経済の危機は深刻化しており、社会的不安も高まっている。中国経済の動向は世界経済にも影響を及ぼすため、注視する必要がある。

【編集:LF】

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