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【コラム】新手の受験商法・中国
配信日時:2023年9月10日 7時00分 [ ID:9188]

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 夏休み、大学では、サマースクール、オープンスクールなど様々な学校開放が行われる。義務教育のように普段から文化祭など行事を通して地元にある学校を見ることは高校までだ。大学は、もちろん偏差値もあるが、自分が大人になるステップの学校を見学することは、全国単位にすると、長期休みの時にしかできない。思い描いていた学校か、そうでないか。まだ時間はあるのですごくがんばっても入りたい大学かもしれない。夏季休暇の大学にも、にぎやかな声が響く。

 しかし、多くの大学がフリー見学なのにも関わらず、北京大学と清華大学に関しては、全国の優秀な生徒が我こそはと見学を希望するために、事前登録を行っている。SNSやホームページを通して申し込むのだが、なかなか予約が取れない。

 どうしたら、予約が取れるのか。そんなに困っている人がいるなら、商売になるんじゃない…そう考えた集団がいた。

 北京大学と清華大学には、OB優先枠がある。本来は、自分の子供などを見学させるために使用すると考えられるが、子も親戚もまったくいない人は、枠が余っている。余っている者同士、OB46人がグループを作って、一人当たり日本円にして21万5000円の料金で、枠に振り当てたのだ。総勢139人を枠から見学に導き、2988万円儲けた。ただこれは、大学側の本意ではないので、違反行為とされ、今後、OB枠は減っていくかと思われる。

 そして、素人でも3000万円近く儲けているに目を付けたのは、旅行会社だ。ただ、これは、中には入れない。校門の前で記念写真を撮るだけのツアーで、紛らわしい名前で参加を呼び掛けている。じきに、警察に取り締まられる案件になる。

 北京大学にせよ、清華大学にせよ、そこに進学したいという強い意志があれば、校舎内を見学しなくても問題はない。そんな物見遊山している暇があるなら、勉強をしたらいい。大人はその純粋な気持ちを傷つける金儲けを考える。

 逆に、オープンスクールなんかなくて、パンフレットでしか判断できない昭和の終わりごろの受験生たちの方が幸せだったかもしれない。

【編集:fa】

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