TODAY 2025年12月5日
フィリピンのニュース
フィリピンを狙い撃ち「中国戦闘機異常接近、グレーゾーンの拡大」
配信日時:2025年8月14日 11時00分 [ ID:10352]
写真をクリックすると次の写真に切り替わります。
2025年8月13日、南シナ海でまたしても緊張が高まった。フィリピン当局の発表によれば、中国の戦闘機がフィリピンの監視航空機に異常接近したという。これは、単なる偶発的な出来事ではない。中国の「面子」と、国内に山積する課題を背景にした、周到な計算のもとに行われた威嚇行為である可能性が高い。この事件は、経済の軟化と内政の不安定化に直面する中国が、国際的な緊張をさらに高めている現状を浮き彫りにしている。
近年、中国経済はかつてのような勢いを失い、不動産バブルの崩壊、若年層の高い失業率、地方政府の債務問題など、多くの課題が表面化している。成長の鈍化は、中国共産党の正当性を支えてきた「経済発展」という大義名分を揺るがしかねない。こうした状況下で、中国政府は国民の不満を逸らすため、対外的な強硬姿勢を強める傾向にある。ナショナリズムを鼓舞することで、国内の結束を固めようとするのだ。
今回のフィリピン機への異常接近は、この内政的な圧力と無関係ではないだろう。フィリピン当局は、この異常接近に先立ち、中国の船が自滅的な衝突事故を起こしたことを報じている。権威主義体制を維持する中国にとって、このような失態は「面子」を潰す行為であり、決して容認できるものではない。異常接近は、この面子を取り戻すための、意図的な威嚇攻撃として計画された可能性が高い。
中国が南シナ海や東シナ海で展開している「グレーゾーン戦術」は、軍事力行使には至らないまでも、他国の主権を徐々に侵食する手法である。しかし、この戦術は国際的な評価を著しく損ない、中国を孤立させる悪手となっている。
ベトナムやフィリピンは、中国海警局や海上民兵による妨害行為に常に晒されている。自国の排他的経済水域(EEZ)内での資源開発や漁業活動が妨害され、国民の生命と財産が脅かされているのが現状だ。最近では、中国海軍の軍艦がこれらの活動に加わるケースも確認され、事態の軍事化が懸念されている。これらの国々は、中国の圧力に屈することなく、国際法廷への提訴や国際世論への訴えを通じて対抗している。中国の横暴は、ASEAN諸国の結束をかえって強め、対中包囲網を形成する要因となっている。
日本も例外ではない。尖閣諸島周辺での中国海警船による領海侵入が常態化し、海上保安庁の巡視船や日本の漁船に対する執拗な追尾や威嚇行為は、日本の主権を侵害するだけでなく、地域の緊張を高める行為だ。中国はこれらの行為を「自国の領土保全」と主張するが、国際法を無視した一方的な現状変更の試みとして、国際社会から強い批判を浴びている。
中国のグレーゾーン戦術は、海上での直接的な行動にとどまらない。経済力を背景にしたインフラ支配も、他国の主権を侵食する「見えないグレーゾーン」として機能している。
一例として、フィリピンの電力網が挙げられる。同国の送電網を運営する企業に、中国の国有企業が40%の資本を投入しているのだ。これにより、フィリピンの電力システムが中国の支配下にあるとの懸念が浮上している。フィリピン政府や軍は、緊急時に電力供給を停止されるリスクや、サイバー攻撃による国家インフラへの影響を危惧している。こうした経済的な支配は、南シナ海問題におけるフィリピンの対中政策に影響を与えかねない。
今回の異常接近事件は、南シナ海における緊張の継続と深化を示すものだ。フィリピン当局が、当時、アメリカ海軍のミサイル駆逐艦が航行していたことを明らかにしたことは、この地域における米中の対立構造を改めて浮き彫りにしている。国際社会は、中国の行動を注視しており、もし事態がエスカレートすれば、中国はさらなる国際的な非難と孤立を招くことになるだろう。
中国は、建国以来、平和共存五原則を掲げてきた。しかし、今日のグレーゾーン戦術は、この原則とは真逆の行動であり、中国の国際的な信用を失墜させている。世界の大国として、中国が取るべき道は、力の行使ではなく、対話と国際法に基づく紛争解決だ。経済的な軟化や内政的な課題を理由に、対外的な緊張を高めることは、自滅行為に他ならない。この事態が、中国が国際社会の一員としての責任を自覚し、行動を改めるきっかけとなることを期待したい。
【編集:YOMOTA】
|
|
|
|
<< 関連記事 >>
フィリピンの新着ニュース
NHKラジオもレポート『フィリピンフェスティバル2025 代々木公園で、11月30日も開催! 』
[ 2025年11月30日 9時00分 ]
フィリピン・クラーク国際空港、対日投資・観光誘致を加速
[ 2025年11月29日 7時00分 ]
セブ・パシフィック航空、関西ーフィリピン・クラーク線 26年に新規開設へ! 週4便を予定
[ 2025年11月28日 20時45分 ]
【夢紀行・セブ】時が止まる島、カオハガン 奇跡の白い砂浜と「日本人ファミリー」が守る楽園
[ 2025年11月28日 10時00分 ]
フィリピンの魅力を「体験」、代々木公園で 11月29日・30日 フィリピンフェスティバル開催!
[ 2025年11月28日 7時00分 ]
セブ空港で「ドライマンゴー」が最強の健康土産として再注目される理由
[ 2025年11月26日 9時00分 ]
あの「暑い屋外移動」が消滅! セブ空港が専用通路で劇的進化。専用審査で混雑知らず、最強リゾートハブへ
[ 2025年11月25日 14時00分 ]
【フィリピン】マニラで開催「海外安全対策セミナー」、講演動画の期間限定配信がスタート
[ 2025年11月22日 7時00分 ]
人気ニュースランキング
[ フィリピン ]
【実録・セブ島直撃】「大したことない」は致命的! 在住日本人を襲った“史上最悪級”台風25号の恐怖
台風ティノ、セブ島直撃で深刻な洪水被害—車両流失や家屋倒壊、復旧と経済活動再建が急務
【実録・セブ島直撃】復旧後の「光と影」台風25号が炙り出したフィリピンのインフラ課題と災害意識
その他の国の最新ニュース
タイ [ 2025年12月2日 14時00分 ]
ベトナム [ 2025年10月12日 10時30分 ]
ミャンマー・カンボジア [ 2025年11月13日 7時00分 ]
ラオス [ 2025年7月4日 6時00分 ]
国連・SDGs [ 2025年11月27日 7時00分 ]
マレーシア・シンガポール [ 2025年12月1日 7時00分 ]
インドネシア [ 2024年1月17日 11時00分 ]
インド [ 2025年10月24日 16時30分 ]
ワールド [ 2025年12月5日 9時00分 ]