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トヨタ・アバンザ ダバオで好評! (7人乗りミニバン)
配信日時:2026年1月14日 11時00分 [ ID:10799]

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Toyota Matina, Davao 2026年1月撮影

 フィリピン南部の大都市ダバオ。熱帯の力強い陽光が眩しく照りつける2026年1月初旬、現地のトヨタ販売店は、新車を求める人々の熱気と「新しい生活」への期待感に包まれていた。パナソニックやシャープ、日立、東芝、ソニーなどの家電分野での日本ブランドは、韓国や中国メーカーにその座を譲り渡した。しかし、自動車産業においては、今なお「日系メーカー」が圧倒的な信頼と、所有する喜びを感じさせる特別な存在感を誇っている。

 その象徴ともいえるのが、トヨタの7人乗りミニバンの中で最も手頃な価格を実現している「アバンザ」だ。今回は、最新2026モデル(1.5L、オートマチック車・諸費用を含めた支払総額・約300万円)購入の、ワクワク感あふれる現場を追った。

 「実車を見るまで5時間」という熱狂

 2026年1月5日。ダバオ市内でも最大規模を誇るトヨタディーラーを訪れた購入者は、フィリピンにおける日本車の爆発的な需要を肌で感じることとなった。お目当てのアバンザの実車を確認するだけで、実に5時間の待ち時間を要したのだ。あまりの売れ行きに展示車の確保が間に合わず、販売用の車が到着するのを心待ちにする時間が続いたためだ。

 担当セールスYnna Kristine L. Singkalaさんによると、この店舗では毎日10台以上の新車が売約済みとなり引き渡されていくという。アバンザはインドネシアのアストラ・ダイハツ・モーター工場で生産された輸入車だが、その品質への信頼は揺るぎない。

 信頼を支える「タフさ」と「選択肢」

 購入者は、南国の過酷な環境でも長く愛用できるよう、1万ペソ(約2万6千円)のオプションで「下回り防錆処理」を依頼。交渉は終始和やかに進み、1月8日に手付金として約10万ペソを支払い、翌9日の午前中には残金100万ペソの支払いを完了させた。

 担当セールスYnnaさんは「ローンを組むのが一般的で、100万ペソを超える金額を現金一括で支払う顧客は初めてだ」と驚きを隠さなかった。中間層の拡大が続くフィリピンだが、依然として高額消費は割賦販売が主流。

 また、アバンザには、最安グレードである「1.3L マニュアル車」もある。このモデルは、ここダバオでも配車アプリ「Grab(グラブ)」の主要車両として数多く走り回っており、市民の足として利用されている。

 ライバル車を退けた「信頼」と「サイズ」

 今回のアバンザ購入に至るまで、いくつかの魅力的な競合車が検討された。

 まず検討から外れたのは、スズキの競合車だった。燃費性能に優れたハイブリッド車(HV)だったが、フィリピンの気候や複雑な構造ゆえの故障リスクへの不安が拭えなかった。

 次に候補に挙がったのは、三菱自動車の「エクスパンダー」だ。360度カメラを備え、内装の豪華さでも一歩リード。乗り心地も最高だ。しかし、アバンザより一回り大きい車体サイズが仇となった。ダバオ市内の住宅事情や、自宅車庫への入れやすさを優先した結果、「アバンザ」が選ばれた。

 また、近年急速に台頭しているイギリス発祥の中国車MGや韓国車KIAも選択肢にはあった。内装の質感が高く、最新装備も充実しており、さらに大幅な値引き提示という誘惑もあったが、最終的には「ブランドの信頼感」、「10年後の耐用性」や「リセールバリュー」という面で、日系ブランドが築き上げた盤石の壁を越えるには至らなかった。

 「免許取得後の練習」というフィリピン流の楽しみ

 1月9日夕刻、待望の納車式が行われた。車体には24時間のみ有効な「仮ナンバー」が取り付けられた。フィリピンの厳しい規制により、この期間を過ぎると正式なナンバープレートが交付されるまでの2〜3週間、公道を走ることは一切禁じられる。

 この「空白期間」に、フィリピン独自の運転事情と、家族で車を育てる文化が垣間見える。同国で運転免許を取得する際、義務付けられている実車での学習時間はわずか8時間。免許取得直後のドライバーが、すぐにダバオの公道の喧騒へ飛び出すのは勇気がいる。

 そのため、購入者は「サブディビジョン」と呼ばれるゲート付きの広大な分譲住宅地内で、じっくりと運転練習を重ねる計画だ。ドライバースクールの教官を自宅に招き、24時間限定の公道走行許可を使い切った後は、私有地内で徹底的にハンドルを握り、新しい相棒との絆を深めていく。

 家電で敗れた日本が、なぜ車では勝ち続けられるのか。それは単なる性能の差ではなく、過酷な道路状況に耐えうる「壊れない」という圧倒的な信頼、そして市場に根ざしたサイズ感の提案にある。ダバオの街を爽快に走り出す赤いアバンザは、まさにその信頼と、新しい生活への喜びの証である。

 トヨタがASEAN市場で展開する「アバンザ」は、2003年の登場以来、圧倒的な支持を集める「国民車」だ。ダイハツ工業との共同開発により、多人数乗車と悪路走破性を両立。新興国の経済成長を支える象徴的な一台となった。

 トヨタのASEAN戦略において、同車は「低価格・高耐久」を担う基幹車種に位置付けられる。2021年の刷新で前輪駆動(FF)を採用し、室内空間を大幅に拡大した。昨今の円安の影響により、日本円換算の価格は230万〜300万円前後と上昇傾向にあるが、現地の生活に根ざした信頼のブランド力は不動だ。

【編集:Eula Casinillo】

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