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円安下の海外長期滞在、フィリピン・ダバオに映る「欧米回帰」と日本人の苦境
配信日時:2026年1月13日 15時30分 [ ID:10806]

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2026年1月13日、ダバオの出入国管理局

 歴史的に日本との縁が深いフィリピン第3の都市・ダバオ。かつて「東南アジア最大の日本人街」を形成したこの地がいま、日本人の姿がまばらになる一方で、欧米の長期滞在者たちで賑わいを見せている。背景にあるのは、容赦なく進行する円安と、現地の滞在コスト上昇だ。

 ダバオの出入国管理局で、観光ビザの延長費用として提示された「4,060ペソ」(初回の観光VISA 29日間 延長費用)という数字。 日本円にして約1万円(2026年現在のレート換算)を超えるこの負担は、長期滞在者にとって決して小さくない。

 フィリピン当局は近年、ビザ延長費用の改訂や、観光客の管理強化を進めている。 以前は「格安」の代名詞だったフィリピンでの長期滞在も、いまや相応の資金力を求められる「選別」の場へと変貌しつつあるのだ。

 事務所で見かける顔ぶれが欧米中心であることは、現在のダバオの立ち位置を象徴している。彼らがこの街を選ぶ理由は明確だ。

* 治安と安定: 前政権時代からの強力な治安維持策により、フィリピン国内でも屈指の安全性を誇る。
* 生活環境の質: 台風被害が極めて少ない安定した気候は、高齢の退職者にとっても大きな魅力だ。
* 経済的余裕: 強いドルやユーロを背景に持つ欧米勢にとって、数千ペソのビザ費用は「安全を買うコスト」として許容範囲内にある。

 一方で、日本人の減少は深刻だ。かつては定年退職後の「楽園」として人気を博したが、急激な円安がその構図を破壊した。 1ペソ=2円台後半から3円へと迫る勢いの中で、日本からの年金や貯蓄で生活する邦人にとって、現地の物価やビザ費用の支払いは実質的に数割増しの負担となっている。

 かつて日本人が築いた街で、日本人が肩身を狭くし、欧米人がそのインフラを享受する――。ダバオの入管事務所で見られる光景は、日本経済の地盤沈下を映し出す「鏡」と言えるかもしれない。

【編集:Eula】

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