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【コラム】タイの人々に愛された日本兵〜戦争直後にタイであったいくつかの実話:第1回(全7回)
配信日時:2022年8月8日 11時00分 [ ID:8253]
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今年も終戦の日が近づいてきた。毎年この時期になるとわたしはタイ北部ミャンマーとの国境に接するメーホンソン県のクンユアム警察署長だったチャーチャイ・チョムタワット氏のことを思い出す。氏は在任当時から日本兵がクンユアムに残していった遺物を村人から買い集め、それらを展示するために博物館を創設。そして、村人から聞いた物語やエピソードを書き遺した。それらの文物を後世の若い人たちに伝えることが自分の責務だと言っておられた。タイに住むライターとして、一人でも多くの若い世代に知れ渡るよう願いを込めて、本コラムをチューチャイ氏に献呈したい。
日本を愛した元警察署長チューチャイ氏が遺し伝えたかったこと
チャーチャイ・チョムタワット元警察大佐は、1995年から署長としてメーホンソン県クンユアム警察署に赴任した。クンユアムは、チェンマイから約220km西方のメーホンソン県にあり、ミャンマーとの国境を接する山岳地帯にある。第2次世界大戦の際にインパール作戦の出発地となり、敗残兵が白骨街道を引き揚げて帰還した地でもある。
チューチャイ氏は、その地で多くの日本兵が遺していった物を見つけ、村人達の話から様々な物語に出会った。そして、村人から日本兵の遺物を買い上げて収集しながら、戦争記念館を建造した。そして、多くの村人から伝え聞いた話しは書き留め続けた。それらは当時まだ存命だった当事者である人からの話しがほとんどで、いくつかの事実の物語として著書「第2次世界大戦でのクンユアムの人々と日本の兵隊さんの思い出」としてまとめられた。その序文には、チューチャイ氏自らの言葉として以下の文が掲載されている。また、同著作は、元チューチャイ・チョムタワット事務所日本事務局の武田浩一氏によってタイ語から日本語へ翻訳された。
「第2次世界大戦でのクンユアムの人々と日本の兵隊さんの思い出」
はじめに
私は、クンユアム警察に署長として赴任してくるまでは、何の考えもなかった。1995年(平成7年)に赴任してから、いろいろとクンユアムの人々の家に挨拶に回った。
そうしたところ不思議なことにどの家にも宝物みたいにして、日本の兵隊さんのものを一つか二つ必ず持っていた。
水筒、毛布、鉄兜、飯盒等。これが日本の兵隊さんの思い出の品ですよと言う。
私はいろいろと聞いてみた。むかし日本の兵隊さんがいっぱいクンユアムに来て、兵舎を作って、4年~5年くらいここに住んでいたよといった。私は何も知らなかった。
そこから私は本を読んだ。チェンマイの図書館、メーホンソンの図書館にも行って第二次世界大戦のことをいろいろと勉強した。
しかし、クンユアムの日本兵のことは何も分からなかった。
ここクンユアムには、日本兵との思い出が埋もれている。
しかし何事もなかったように、人々は日々の生活をしている。若い人は何も知らない。唯みんなの心の中に思い出が残っているだけだった。
村のおじいさん、おばあさんだけの思い出とするのはもったいないと思った。今何もやらなければ、だんだんと忘れ去られ、いずれ何もなくなってしまうだろうと思った。
私は本気で調べ始めた。メモを取り、またビデオ、カセットテープ、写真も撮って、おじいさん、おばあさんからいろいろと話しを聞いた。日本軍のこと日本兵のこと、当時の村のことを。
そして同時に、私は村人から日本兵の遺品を集め始めた。
私は、もっとやらなければいけないなと思い始めた。
人々の思い出を、これから伝えるために。
この本に書いたことは村人の知っていること見たことを、私が聞いて調べた事実である。
今回の調査には時間がかかった。一人一人言うことがいっぱいなので整理することが大変であった。タイ人だけ、タイ語だけではない。ビルマ語もあるカレン語もある。
クンユアムの遠い村まで聞きに行った。通訳の人もお願いした。みんな65歳以上で耳も悪いし、大きい声で人々とも話をした。
ほんとうの、ほんとうの事を知りたいために。
そうして私は今、タイ国内のいろいろな地域での、第二次世界大戦の歴史を書き留めて欲しいと願っている。
この本を作り上げることは大変であった。しかしこれはクンユアムのみんなの思い出で、日本の50年前のことが書いてある。ぜひ学生の皆さん、そして若い人がこの本を役に立ててほしい。
私はこの本の制作に精一杯の努力をした。もし足りないこと、間違いがあればご容赦いただきたい。
ご協力いただいた方々に心からの謝意を表したい。(日本語訳文をそのまま転載)
第2回「クンユアムに残った日本兵」へつづく
本コラムは、故チューチャイ・チョムタワット氏の遺志を後世に伝えるべく書かせてもらっており、過去や現在の戦争行為を賛美したり美化しようとするものではないことを明記させていただく。
【執筆:編集 そむちゃい吉田】
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