タイのニュース

万仏節(マーカブーチャー)の祭事、バンコクでは酒類販売禁止で繁華街も暗く
配信日時:2015年3月6日 17時00分 [ ID:1633]

このエントリーをはてなブックマークに追加

写真をクリックすると次の写真に切り替わります。

有名歌手も一人の敬虔な仏教徒。超多忙なバイトゥーイ(写真中央)も寺院への参拝は欠かさない。写真は、昨年の万仏節でロウソクを手に本堂の外周を歩くバイトゥーイさん。(そむちゃい吉田撮影)

 2015年3月4日、仏歴で万仏節のこの日、タイでは多くの仏教徒が寺院に参拝。その一方で酒類の販売は一日規制され、繁華街や屋台も休業が目立った。

 この日、タイ人の多くは朝から寺院へ参拝して寄進し、徳を積む。夜も寺院へ集まった人々は、ロウソクと線香を灯して本堂の周りを念仏を唱えながら三周する。

 万仏節。タイ語でマーカブーチャーと呼ばれるこの日は、満月の日に、仏陀が王舎城の竹林精舎で説教をしていた時、事前に何の約束もなく1250名の僧侶が集まった。その僧侶たちは全員仏陀が直接出家させていて、また全員が阿羅漢果を得ていた、という4つの偶然が重なったとされる日。

 仏教はタイの国教とはされていないが、タイ人の95%にあたる人が仏教であるために、こうした仏教の祭事の日は祭日として休みになっている。

 そして近年、こうした仏教の祭日には飲酒と酒の販売が禁止されている。それはバンコクの歓楽街も例外ではない。せっかく旅行で訪れた観光客にとって迷惑この上ない法律でもあるのだが、日本料理店などは、こっそりと湯飲みなどにビールや酒を入れて出している所もある。

 しかし、こうした法律を厳格に守っているのが都心部などに限られている点は、いかにもタイらしい。同じバンコクでも少し外れに出ると、食堂などでも普通にビールが出て来る(店もある)。昨年、戒厳令が敷かれた直後の夜間外出禁止令がまだ全国に発令されている最中も、地方では食堂や飲み屋が普通に営業していた。

 「そんなのバンコクの一部だけで、こっちには関係ないよ。もし何か言われたら止めるけど、この通り誰も何も言って来ないだろ」そう言って、そこの店主は周りをぐるりと指し示した。

 「自分たちがやりたいようにやる。何か言われたら、そのときはその時。逆らわずにおとなしく従ってやり過ごせばいいんだよ」そう言って店主は悪びれもせずに笑った。

 大らかさとしたたかさ。タイの人々はこの日、仏様に手を合わせたあと、それぞれの家路について行った。中には、その帰り道にお酒を飲む人もいるんだろうなと、思いながら何事に対しても深刻にならずに明るい彼らを見送った。

【執筆:そむちゃい吉田】

タイの新着ニュース