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【タイ】音楽事務所による「カオパンサー」に向けての奉納8kmパレード
配信日時:2015年7月27日 11時00分 [ ID:2252]
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2015年7月31日のカオパンサーを前に、タイでは寺院を中心に様々な行事が模様されている。
タイの企業にとってもそれは無縁ではなく、むしろ積極的に寄進を行う時期でもある。歌謡曲を通して、タイ庶民と深く繋がりを持つ老舗の音楽事務所が行った奉納行事に同行取材した。
カオパンサーとは入安吾として、古来僧侶たちが雨季に入るにあたり、僧房に籠って修行を始める日とされている重要行事のひとつ。タイ3大祭りの一つ、ウボンラチャタニー県のロウソク祭りが有名だが、暗い僧房で灯すロウソクを寄進した事から始まったものが祭りとなった物で、他のタイ全土で行われている。多くの寺院が祭りを催し寄付集めを行う。境内には屋台が立ち並び、広場などでは歌謡コンサートが何日も開かれる。
コンサートの主役である歌手たちを抱える音楽事務所のひとつ、トップラインミュージック-ダイアモンドスタジオ社(以下トップライン社)は、1989年に設立された今や老舗と言っていい存在。タイの歌謡曲ルークトゥンと東北部の伝統音楽モーラムの歌手を中心に、近年では自社専門の衛星チャンネルも無料放送している。
午前9時頃、バンコク各所から呼び集められたシントー集団(中国獅子舞)が、トップライン社前に集まって来た。激しい爆竹の音と、鐘太鼓が響くなか、同社の菩提寺であるワット・サワーンへ向けて街中をパレードするという。
タイの仏教では、寄進行為は来世の幸福な輪廻転生のために徳を積む行為として、もっとも尊いとされている。タイ企業は、こうしたお寺への寄進行為は日常的に行われている。イメージ戦略の上でも、むしろ積極的にやっている面もあるが、今回のように大々的にやる所は少ない。ウボンラチャタニーのロウソク祭りも、本来は寺にロウソクなどを寄進するためのもの。この行進も、タイ語ではヘーティアンと呼ばれロウソクパレードとして、お寺への奉納が目的だ。
この行進中に所属歌手たちが寺への寄進を集めて周る。バスを待つ人々、お店の女主人、ビル建設現場の作業員や、中には、信号待ちの車から降りて来る人もいる。タイの人々に深く根付いた仏教が息づいている様は、無宗教な日本人には奇異に映る。しかし、その教えこそがわれわれを魅き付けてやまないタイ人の魅力の大元になっている。
企業の寄進といっても、通常は社員を伴って寺院へ赴き、幾ばくかのお金などを寄進するだけだ。しかし、このトップライン社は会社から寺院までを毎年パレードしているという。BTSプラカノン駅の辺りからラマ4世通りを抜け、エカマイからスクムビット50を抜けるコースを警察などが伴走して、車線を規制しながら進む。12時前にスタートしたパレードだが、最後のグループが目的の寺院に到着したのは、夜8時を過ぎていた。
寺院では飲み物や食べ物が無料で振る舞われ、参拝を済ませたタイ人たちが寛いでいた。また、敷地内には大きなステージが設営されており、夜にはコンサートが開かれた。こうした寺院のコンサートは、無料であることも珍しくないのだが、こうした人気歌手となると60~100バーツの入場料を取る。そして今回の入場料は全て寺院に寄進されるという。
この日のコンサートにはトップライン社だけでなく、モーラム楽団としてはタイ1、2を争う人気楽団二組が共演するということもあってか、有料にも関わらず場内は超満員。途中雨にも降られ、帰る姿も見られたが、真夜中0時過ぎまで盛り上がっていた。
寺院の寄付集めや企業のイメージ戦略としての寄付行為について、いい印象を持たれないこともある。しかし、結果として言えば、今回の一企業による寄進行為が、タイの人々に楽しみを与え、徳を積む機会を与え、会場では飲食も振る舞うという、伝統的な行事自体が一つの社会貢献になっているという側面には、敬意を払うべきだし、学ぶべき所も少ないないだろう。
もっとも赤ら顔で缶ビールを手に踊るタイ人を見ていると、どこに信仰心があるのかを伺いたくなる。しかし、日常のストレスから解放され、笑顔満面の彼らを見ていると、幸せに生きる術をよく知っているようにも見えて来る。
また、普段歩かないタイ人が、このパレードでは約8キロメートルもの距離を日中の暑い中、喜々として歩いていたことも信仰心の為せる技なのだろう。印象に残る取材だった。
【翻訳/編集:そむちゃい吉田】
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