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【インド】台湾のEMS世界最大手の進出で「メイク・イン・インディア」が大きく前進ーHSBC投信
配信日時:2015年8月18日 15時00分 [ ID:2376]
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2015年8月18日、HSBC投信は、現地からのインド経済トピックスやインド市場動向を伝えた。
トピックスとしては、台湾のEMS世界最大手の進出で「メイク・イン・インディア」が大きく前進することと、土地収用法改正案は先送りになったことの2項目。
1.台湾のEMS世界最大手の進出で「メイク・イン・インディア」が大きく前進、台湾のフォックスコン社がインドに生産拠点を設立する。
台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)大手で、米アップル社の主要サプライヤーとして知られるフォックスコン・テクノロジー・グループ(以下フォックスコン社)は、インド西部のマハラシュトラ州に電子機器の新たな生産拠点を設立し、今後5年間で50億米ドル(約6,200億円)の投資を行う計画を発表した。インドを世界の製造・輸出拠点とする構想「メイク・イン・インディア」が大きく前進することになる。
フォックスコン社はiPhone製造の大部分を中国で行っているが、インドに生産拠点を設けることにより、中国の賃金上昇によるコスト増を軽減することができる。また、同社製品に対する需要の急拡大が期待できるインド市場に生産拠点を持つメリットを享受することも可能となると説明している。
フォックスコン社の従業員数は全世界で100万人超と、世界の民間企業の中で最大規模で、今後はインドの他州にも生産拠点を設立することを検討している。
「メイク・イン・インディア」を推進するのは中央政府だが、他のアジア諸国との競争が激化する中、その成否は実務面でビジネスのしやすさ向上を図る州政府の行動にかかっている。
2.土地収用法改正案は先送り、冬季国会で再審議へ
インド政府は土地収用法改正案の先送りを決めた。同案は、用地取得を容易にし、近代的都市建設や産業大動脈整備など大型インフラ投資計画の早期実現を図るための重要法案だった。
今回の法案成立先送りは、野党が改正案を「反農民的」と主張し、議会内の対立が深まっていたことが主な原因となっている。
今年9月から10月には、農業を主要産業とするビハール州で州議会選挙が予定されている。与党インド人民党(BJP)は一部で「反農民的」と批判される土地制度改革を強引に進めれば、支持者の票を大きく失う可能性があることも考慮した模様。
大型インフラ投資計画の対象である用地の大部分は既に政府が保有しており、今回の法案見送りが計画の大きな妨げとなるとは考え難い。しかしながら、モディ政権の推進するインフラ投資計画の進捗について、投資家の懸念が強まる可能性がある。
政府はモンスーン国会(7月21日~8月13日)での法案成立を断念したが、土地収用法改正案は次期冬季国会で再び審議されるものと見られる。
<マーケットサマリー>
株式市場
7月のインド株式市場はSENSEX指数が前月末比+1.2%となった。米国の利上げ観測がマイナス要因となる一方、国内では金融緩和継続観測などが支援材料となった。インドは石油消費の8割近くを輸入に依存しているため、原油価格の下落はプラスに働いた。
また、政府が国営銀行に対し今後4年間で7,000億ルピー(約1.4兆円)規模の資本注入を行うと発表したこともプラス材料となった。
2015年は企業収益の伸び悩みが株価の下押し要因になってきた。しかし、7月は業績予想の下方修正が減少しており、持続的な景気回復を受けて、2015年度末にかけて企業収益の拡大が見込まれる。
債券市場
7月のインド債券市場は、10年物国債利回りが0.05%低下し7.81%で取引を終えた。
インド準備銀行(中央銀行)は8月4日の金融政策決定会合でハト派的姿勢を示し、「金融緩和姿勢を維持する」と述べている。
中央銀行は2016年1月のインフレ率の目標値を6%としているが、この水準を下回る見込みだ。また、モンスーン期の降雨量については、長期平均を12%下回るとの当初見込みに対し、6月1日から8月2日の間の実測値は6%下回る程度となっており、一方、食品価格上昇の主な要因である豆類や油料種子の播種(はしゅ)量は例年を上回っている。
インフレが抑えられる中で中央銀行は金融緩和を継続、6月には今年3回目となる利下げを行っており、さらに2015年末までに追加利下げを行う可能性が高いと見ている。
為替市場
7月のインドルピーは、対米ドルで軟調な展開となり、前月末比-0.8%で取引を終えた(図表3参照)。但し、米国の利上げ観測を背景に米ドルが全面高となる中で、主要アジア通貨は軒並み下落しており、ルピーの下落幅は比較的小幅なものにとどまった。
当面は原油安がルピー相場の下支え要因となる見通し。ルピー相場を引き続き強気に見ている。米国とインドのインフレ率格差は安定的ないし縮小傾向にあり、また原油安と経常赤字の縮小も引き続きルピー相場を支える材料となろう。
インドルピーは当面、対米ドルで63~65ルピーのレンジ内(7月末は64.1ルピー)、中期的には60~64ルピーのレンジ内で推移すると予想している。
【編集:TY】
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