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【ミャンマー】子どもたちの未来のために、学校教育支援(3)
配信日時:2015年12月4日 10時00分 [ ID:2835]
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2015年12月4日、パオ族の村で学校建設の話を聞く。
シャン州の州都タウンジーから、舗装されていない赤土の道のりを車で約2時間。途中、水牛の渋滞に何度も遭遇しながら、ミャンマー少数民族のパオ族830人が暮らすカウンワータウン村に辿り着いた。2015年9月末に完成した126人が通うカウンワータウン小学校の新校舎を訪問した。
少数民族地域の学校建設は、地域の人々と日本財団学校建設事業の実施を担っている現地NGOセダナーの2人3脚だ。毎年1月から2月にかけて、学校建設のニーズの高い地域でセダナーが訪問調査を行い、建設支援対象となる村を選定する。選定基準はいたってシンプル、学校建設にかかる資材と労働力の提供を請け負う「覚悟」があるかどうかだ。決定した村ではセダナー職員による正式通知式が行われ、同時に、村の世話役、校長や保護者、僧侶などからなる「学校建設委員会」の設置を行う。
この「学校建設委員会」が地元の大工・左官・塗装工8~10人からなる大工グループと直接契約を交わすのだが、見積もり作成時には委員会メンバーと大工グループが必ずセダナー事務所を訪問することになっている。ここでは、セダナー職員が、ミャンマー教育省の基準をもとに作成した模型を駆使して校舎建設基準の解説講座を行う。地方地域では目算で資材を購入することが多く、余剰資材を大量に出してしまうこともよくあるが、この校舎建設講座が功を奏して、セダナーの学校建設現場では、資材の無駄を5%以下に抑えられているという報告があがっている。
さらに、大工グループによる監督のもと基礎工事に携わる村の住民を対象とした建設ワークショップも欠かせない。まずは『建設にかかる労働力の提供が労賃に換算され地域の基金にプールされる仕組み』を図解で住民に説明する。カウンワータウン村のようにパオ語以外の言語を話せる人がほとんどいないケースも多く、コミュニケーションに苦労することもあるが、そんな時は、ミャンマー語のわかる人を探し出して通訳をしてもらい、住民が納得するまで丁寧に話し合うことに努めている。
実際の建設工程に移ると、最も人手を要する基礎工事には延べ200人近くの住民が参加する大イベントとなる。カウンワータウン村の「学校建設委員会」に話を聞いたところ、岩山の中腹に建設地が位置していたため、基礎工事は岩を切り崩していく作業が大変で、地域住民総出で夜中も作業を行ったとのこと。一方、ここ1-2年で僻地の事業現場を変えているのが携帯電話の普及だ。カウンワータウン村には、2013年に初めて携帯電話が導入されてから、2015年現在には20台まで利用されている。携帯電話を使えば、町にある資材屋まで行くことなく、木材・セメント・石灰などの市場価格調査が可能になり、不足資材もすぐに注文できるようになったそうだ。
こうして基礎工事着工から半年。平屋建てで、小学校各学年用の5教室と図書室を備えた新しい校舎が完成した。テクノロジーの普及がミャンマー少数民族地域の学校建設現場に変化をもたらしているが、新しい校舎は、建設に携わった大勢の住民の努力の賜物であることに変わりない。
【執筆:日本財団 田中麻里】
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