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「タイネットワーキング」開催(2)=駐日タイ王国大使
配信日時:2014年4月2日 14時00分 [ ID:297]

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タイと日本の未来について話す駐日タイ王国大使。

2014年3月28日、日本アセアンセンター(東京都港区)で「タイネットワーキング」が開催された。定員の120名を大きく上回る400名近くの応募があったという。国別ネットワーキングは、1月にマレーシア、フィリピン、2月のラオス、3月のインドネシアに続き5か国目の開催となる。

日本アセアンセンター大西克邦事務総長の挨拶に続き、タナティップ・ウパティシン駐日タイ王国特命全権大使が「タイ―日本 未来の戦略的パートナー」について話した。

タイと日本の関係は特別な関係である。特に王室、皇室の関係は深い。経済においての関係は600年以上前にさかのぼる。日本は伝統的にタイの最大の貿易相手国であり、またタイへの最大の投資国である。貿易や投資面でわずかながら減少はあったものの、昨年は両国の経済関係は比較的良好で人的交流、観光の分野でも両国関係の進展は順調に推移した。

統計的には、2013年の両国の貿易総額はおよそ6.9兆円でタイの貿易総額の約13%をしめる。またタイ投資委員会を通じた日本からの直接投資はおよそ2,820億円でタイ向け国際投資全体の約53%をしめる。人的交流に関しては2013年に日本を訪れたタイ人観光客は前年比74%増加し、45万3600人。これは昨年7月に日本政府が導入したタイ人観光客への査証免除措置が効果を発揮したと考えられる。またタイを訪れる日本人観光客の数も順調に増加傾向にあり、昨年は153万人で前年比12%増になる。

両国関係の強化はいくつかの土台の上に成り立つが、両国首脳の行き来は非常に重要な役割を果たした考えられる。安部首相は就任1年目でASEAN加盟の10か国すべてを訪問し、昨年の12月12日から15日には東京においてASEANと日本の友好関係40周年を記念して、日ASEAN特別首脳会議や、二国間会談等が開催された。こういったことは日本がASEANを重要視していることを世界に印象づけた。

強固な日タイ関係は地方自治体レベルの交流に起因すると考える。タイと日本の地方自治体の強固な関係づくりに関して、私は駐日大使として日本に着任した最初の年に30県以上を訪問した。今回、このイベントで強調して言いたいのは近年、タイ政府はタイの経済的優位性の土台を確かなものとし、海外投資家へ好条件を提供するために国のインフラ対策を重要視してきた。これには120億ドル規模の水管理システムプロジェクトや地域の連結性のハブとしてのタイの役割を確かなものとするため、向こう7年間660億ドル規模の物流向上計画などが含まれる。

投資政策について、来年1月1日にタイ投資委員会はあらたな投資奨励政策を導入する予定がある。また製造業といった従来タイが得意とした業種に加え、クリエイティブ産業、イノベーション産業の地域のハブとなることを視野に入れている。全国に散らばるコンベンションやエキシビションセンターでの国際会議の誘致、メディカル・ツーリズムもこうした政策に含まれる。

広い視点ではASEANは2015年に経済共同体を発足させることを目指しており、6億人の総人口と2兆ドル以上の市場が誕生することになる。これはASEANから日本が多くの利益を得るチャンスである。日本企業のタイにおける長年の経験、そしてASEANにおけるインドと中国の中間というタイの戦略的立地は非常に有利である。日本の投資家にとってタイは生産やビジネスのハブと位置づけと考え、海外投資計画を再構築する良い機会であると言える。いわゆる「タイ・プラス・ワン」の形でさらにビジネスチャンスの拡大を視野に入れて欲しい。タイに投資するということは同時にASEANに投資することであるということを強調したい。

タイのここ5か月ほどの政情不安が、経済や投資政策に与える悪影響を懸念する声があるが、私は短期的に経済への影響はあるかも知れないが、長期的には国の強固な経済基盤と健全なマクロ経済政策により早期に回復を取り戻すと考える。投資家の方々に強調したいのは主要経済政策、健全な財政政策、開放的な市場、投資家にやさしい環境などタイの経済政策は政権に関わらず常に一貫しているということである。常に投資家に良い環境を提供し続けているので安心して欲しいと思う。

【撮影/編集:太田雅幸】

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