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タイ人だけをターゲットにして成功する和食店
配信日時:2016年4月4日 17時00分 [ ID:3300]

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バンコク郊外にある「メガバンナー」の支店もまた食事時は30分近くも待つほどの大盛況であった。

 2016年4月4日、和食ブームのタイでは日本とほぼ同じ味で和食が食べられるようになり、在住日本人は生活しやすくなった。タイ人は日本料理がブームになる前、味が薄いとあまり好感を持っていなかったが、ブームになって慣れ始めており、外国人の中にはゲテモノという扱いだった刺身も好んで食べるようになった。

 和食ブームの中、タイ人が経営するお店も登場しているが、味がタイ風にアレンジされているため日本人が足を運ぶことはなく、本物の味を知るようになったタイ人にも人気が出ないというケースが多い。

 そんな中、ブーム以前からタイで全国展開する「フジレストラン」は、顧客ターゲットを完全にタイ人に絞った戦略で、今でも人気がある。タイ人に和食レストランの名前を挙げてもらうと一番に出てくるほど定着している。

 このレストランの創業者は日本人で、ホームページ確認すると主要役員はその一族で固められているように見受けられる。日本の味を知らないタイ人が作ったものではなく日本人が管理をしているので、日本人が食べても特に不満のある味ではない。しかし、メニューのチョイスや量、味つけはほんの少しタイ人好みになっているので日本人が好んで行くほどではなく、あくまでもタイ人向けのレストランとなる。料金設定も決して安いものではなく、むしろ日本人経営の和食店と大差ない。それでもタイ人は足を運び、多くの商業施設に入っている同店では食事時に列ができるほどの盛況ぶりだ。

 こういったタイ人顧客をターゲットにした日本料理チェーン店はほかにも「ZEN」などといった店がいくつかあり、常時タイ人で賑わっている。ターゲットとする顧客層はやはりタイにおいてはタイ人が一番多い。最近は日本人だけを相手にした飲食店も少なくないが、多くは予想していたほどの収益を上げられずに苦労している。タイでも格安料金でタイ人でも親しみやすいように展開していたラーメン店「幸楽苑」もタイ子会社を解散することを発表しており、タイの飲食店業界は明暗がはっきりと分かれる業界となっている。そんな中ではタイ人向けに特化してサービスを提供するのはタイでは大きな効果があるようだ。

 ある飲食店に勤務する日本人男性はタイ人客の傾向をこう語る。
「多くのタイ人客はあまり値段を見ていませんね。また、鍋とステーキと刺身といった、日本人はしないような注文の仕方をします。食べたいものを食べるというのがタイ人の傾向なので、客単価は日本人より高いことが多いです」

 在住日本人が在タイ日本大使館への在留届出数だけでも6.5万人にもなるタイだが、約7000万人いるタイ人を相手にした方がタイでは成功の確率が高いのかもしれない。


【執筆:高田胤臣】

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