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ラオスのメコン川ダム建設工事、生態系への影響が懸念
配信日時:2014年4月7日 17時00分 [ ID:337]

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かつて秋篠宮殿下が研究された絶滅が危惧されている大ナマズ。

 2014年4月4日、ラオスとタイの報道によると、ラオス政府がサンニャブリー県のメコン川本流にダム建設を始めてから、現在23%ほどの進捗状況であることがわかった。

 ダムの建設については、下流にあたるタイ、カンボジア、ベトナム各政府や環境系NGOなどから、自然破壊と流域住民の暮らしへの悪影響などを危惧する声が多く、ラオス政府も環境に及ぼす調査を詳細に行なうとして、いったんは計画を保留にした経緯があった。しかし、建設による影響はごく一部との結論を持って、2012年11月に建設を開始したが、各方面の懸念は払拭されていない。

 特に生態系への影響はラオス国外では深刻に論議されているものの、ラオス政府には声が届いていないのが現実だ。隣国のタイは、ここで作られる電力を買い入れる立場にあるが、官民の内外に反対の声は根強い。その根底には、メコン川にほど近いタイ東北部のウボンラチャタニー県に建設されたダムが大きな自然破壊をもたらしている現実があるからだ。ダムには、魚の遡上のために水路が造られているが、まったく機能しておらず、流域の漁業に壊滅的な影響を及ぼしているのだ。

 加えて、メコン川にはメコン大ナマズをはじめとして、ギネスブックにも登録されるほどの大魚が捕れることでも知られているのだが、そうした大型の魚は小さな環境の変化に敏感であることも懸念材料だ。特に近年は漁獲量も昔とは比べ物にならないほどに激減しており、絶滅も危惧されている。

 しかし、水力発電が国家財政に占める割合が大きいラオスでは、今後の国家発展のためには貴重な財源となる国家プロジェクトとして進められることに変更の余地はないようだ。


【翻訳/編集:そむちゃい吉田】

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