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タイ深南部4か所で同時爆破テロ、29名が死傷=自爆テロの可能性も
配信日時:2014年4月7日 20時56分 [ ID:339]

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分離独立派によるテロか、タリバンが支援しているとの噂も。

 2014年4月6日、タイメディアが一斉に報じたところによると、同日午後4時頃、マレーシアとの国境に接するタイ南部ヤラー県中心部の市街地にある商店など4か所がほぼ同時に爆発、1名が死亡、28名が負傷した。

 爆破されたのは、ヤラー県ムアン市の中心街3か所の商店などに加えて、もう1か所は放置されていた盗難車に仕かけられていた。死亡したのは、シリドム大学の公衆衛生科に勤務する男性だったが、今回の爆破を操作した犯人だとの報道もあり、イスラム原理主義分離独立派によるテロ攻撃の可能性も高い。

 タイ南部は、住民の75〜80%がイスラム教徒であり、特に深南部と呼ばれているマレーシアの国境付近3県(ヤラー、パッタニー、ナラティワート)は、14世紀から19世紀にパッタニー王国が栄えていたことなどから、タイからの分離独立を望む住民も多い。マレー語に近いヤウィー語を話すこともあり、マレー文化の色が濃い。そして、イスラム原理主義者がこの分離独立運動に加担し、タクシン政権以前からこうした爆破事件や住民への殺戮行為が行なわれてきた。特に2004年に起きた騒動やモスクへの立てこもり事件の際に当時のタクシン政権が取った強硬手段によって、問題は混迷の度を深めてきた。しかし、近年、強硬派と言われたグループが投降するなど、少しずつではあるが、問題解決へ進んでいるかに思われていた。

 テロ活動には、タリバンが支援しているとの噂が根強くある他に、タイの政情不安を煽る目的でベトナムからカンボジアを経由して武器支援が行なわれているとも囁かれている。

 この深南部3県を含む南部は、現在反政府運動を行なっている民主党の支持基盤でもあり、デモ活動が長引く中で成果が見えないことに、自作自演で政府の対応を非難しようとしているのではないかという見方がある一方で、政府が民主党の基盤地区で何らかの意図を持って自作自演したと逆の見方をする向きもある。また、タイで最も貧しいと一般的に言われている東北部よりも、経済的には厳しいと言われているのも、この深南部3県だ。昨年、ゴムの買い取り価格が暴落した際には、ゴム農家が道路封鎖をするなどの抗議活動も起きていた。

 今回の事件のあったヤラー県を含むタイ深南部3県には、日本の外務省からは従来より「渡航の延期をお勧めします」という危険情報が出されている。

【翻訳/編集:そむちゃい吉田】

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