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【タイ】3万人超の児童が両親と別居状態─ユニセフが発表
配信日時:2014年6月24日 15時36分 [ ID:637]

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両親が出稼ぎで不在のケースは、タイ東北部に限らず多い。写真は支援団体による聞き取り調査の模様(タイ財団法人ぴっぱら奨学金提供)。

 2014年6月23日、国連機関ユニセフ・タイランドが明らかにしたところによると、タイで両親と離ればなれに暮らす子どもの数が3万人を超えており、全体の21%を占めていることが判明した。

 今回の調査は、マヒドン大学とタイユニセフが共同して行なわれた。両親が出稼ぎに出ているなどで別居している児童は、タイの子ども全体の21%を占めている。同様のケースは他国での場合、ラオス5%、ベトナム4%、コスタリカ3%、ナイジェリア6.5%だった。この結果からユニセフでは、タイでのケースは、世界的に見ても異常な割合であるという。

 また、マヒドン大学では、東北地方に暮らす子ども1000人を追跡調査し、両親の不在が子どもの発育に与える影響について調査した。その結果、同年代の子どもに比べて、語学力に遅れが目立つ傾向が見られた。

 ユニセフの調査では、これら両親と別居している子どもたちは、その90%が祖父母と同居している。しかし、祖父母自身は初等教育しか受けていない場合がほとんどだった。

 また、出稼ぎに出ている父親の40%が、この半年間に1度も送金して来ておらず、30%が1度も子どもと連絡を取っていないという。

 筆者の経験でも、今回の調査結果を見るまでもなく、タイの地方には祖父母に子供を預けたままで、両親が都会で働いているケースは、当たり前のようにあった。

 しかし、この割合は近年ではかなり解消、あるいはちゃんと送金されているなどの改善方向にあるように思う。それでもこのような結果が出たということは、以前はもっと多くの家庭で、このような児童が多かったということだ。

 タイで20年間活動し、奨学金を支給している教育支援NGO「ぴっぱら奨学金」のケースでは、両親と別居していて家計的な問題から、奨学金を申請して来る家庭の中には、両親が出稼ぎに行ったままというケースは、着実に減ってきているという。

 しかし、一方で土地を持っていない農業では暮らしが成り立たないことや地方での仕事がまだまだ少ないことが今回の調査結果の原因として考えられるが、これまで子どもの健康面への影響については、あまり顧みられることはなかった。


【翻訳/編集:そむちゃい吉田】

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