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タイ政府による「Friends From Thailand」事業初のタイ人ボランティアが日本で活躍
配信日時:2022年10月25日 12時00分 [ ID:8442]

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弟子屈町の紅葉の中で足湯体験するゲーンさん(本人提供)

 2022年10月25日、国際協力機構(以下、JICA)が日本への受入れを支援している、タイ政府の「Friends From Thailand(以下、FFT)」事業によるタイ人ボランティアが北海道と熊本県で一人ずつ、二人のタイ人が活動をしている。まずは、北海道で活動しているタイ人ボランティアに話を聞いた。

 FFTは、タイ外務省国際協力局(Thailand International Cooperation Agency; TICA)が国際協力スキームの一つとして実施、JICA海外協力隊に類したボランティア派遣事業だ。この事業は2003年より開始し、アジア・アフリカの開発途上国を中心にタイからボランティアを派遣している。日本への受入れは今回が初となり、2022年9月26日から12月22日まで、北海道釧路市及び熊本県人吉球磨地域でそれぞれ1名のボランティアが活動をしている。

 ボランティアは、両自治体が取り組む観光振興をテーマに活動。タイの若手人材育成に加え、インバウンド観光客受入の回復・増加への貢献、多文化共生や外国人材を通じた地方創生・地域活性化の推進という新しい形の国際協力に繋がることも期待されている。また今年は、日タイ修好135周年という節目の年でもあり、この機をとらえて、FFTボランティアの受け入れを通じて、JICAとTICAの連携関係の強化、さらには日本とタイの間の関係の深化に努めたい考えだ。

 北海道釧路市阿寒湖温泉地区で活動しているのは、コーラワン・コーサーギッチャールートさん(通称ゲーンさん)。東海大学文学部卒業後、日系観光会社に計5年間勤務した経験を持つ女性だ。
「釧路は自然豊かな素敵な街ですが、残念ながらまだタイ人に知られていないので、観光業界での経験や自身のSNSを活かして、釧路を一人でも多くの人に知ってもらえるようPRしていきたいと思います。」と語るゲーンさんは、日本のドラマ・映画の翻訳に従事しつつ、20万人以上のフォロワーを持つブロガーでもある。タイ語での釧路・阿寒地域の魅力発信やタイ人向けツアー商品の開発といった活動を以下のように語ってくれた。

●このボランティアを始めるきっかけは?

「家族と元上司と友達がFFTの応募のURLを送ってきてくれました。私が日本語能力試験N2以上、観光業界で5年の経験があるというFFTの条件にぴったりあっていたからです。今は、旅行会社で働いてはいませんが、旅行の仕事が大好きで、自分の経験が釧路市の観光に活かせると思い、申し込んでみました。」

●前職は何をしていましたか?
「日本の大学を卒業後、横浜で日本の観光広告会社で働きました。そしてタイに戻った後、日本の旅行会社のバンコク支店で働きました。今は、釧路でこのボランティアをしながら、オンラインで日本語教師をやっています。授業中にも生徒によく釧路のことを話しています。」

●活動を通して、なにか発見などありましたか?
「釧路市と阿寒湖にはタイにないものがたくさんあります。観光地、自然、文化、人々など。例えば、きれいな景色の湖、山と森とまりもの守り方、アイヌ文化、阿寒湖の人々の優しさなどです。」

●活動の中でなにか印象的なことなどありましたか?

「釧路にはまだ1か月しかいないですが、印象に残ったことがたくさんあります。一番印象に残ったのはアイヌ文化です。北海道の場所の名前がだいたいアイヌ語からきている事を今まで知らなかったです。また10月10日のまりも祭りの「カムイノミ」というアイヌの神々に祈りを捧げる儀式に参加しました。アイヌの人の信念と生活が魅力があるので、タイ人に知ってほしいと思います。」

●この活動で日本の印象は変わりましたか?

「全体の印象は変わらないですが、釧路の方々は、以前住んでいた横浜の方々より、ゆったり生活し、笑顔が多いと思います。自然が多いからだと思いました。」

●なにか伝えたいことがあればお願いします。

「今回の第1回のFFTなので、私が釧路について学ぶことができ、釧路の方にもタイのマーケットを知っていただくことができると思います。釧路の方も私も0からのスタートで、すぐにタイ人が釧路に来るのは難しいと思いますが、今後タイ人に釧路の魅力をもっと知ってほしいと思います。」

ゲーンさんの「Daisuki Jdrama Plus」はブログのほか、Youtube、Facebook、Twitter、インスタグラムでもアップされている。

 私ごとではあるが、自分自身も阿寒湖には1カ月ほど暮らしていたことがある。また、タイに長く住んでいる経験から、敬虔な仏教徒が多いタイという国の中で、仏教以前からのアミニズム信仰も根強く息づき、多くの山岳民族がそれぞれ多彩な文化を継承している姿を見聞きしてきた。そうしたことからも、多くのタイ人が共感してくれると思う。そして、ゲーンさんの活躍がタイと日本の相互理解と観光振興に少なからず寄与することだろう。

【編集:そむちゃい吉田】

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