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日韓首脳会談で「シャトル外交」再開へ 
配信日時:2023年3月19日 9時00分 [ ID:8758]

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内閣広報室 3月16日提供写真

 2023年3月16日、岸田文雄首相と韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は東京で初めての首脳会談を行った。太平洋戦争中の、いわゆる「徴用」(募集工)をめぐる問題で韓国側が解決策を示したことを受けて、日韓関係を未来志向で発展させる方針を確認した。また、10年以上途絶えていた首脳間の相互訪問「シャトル外交」の再開も合意し、岸田首相は年内に韓国訪問する意向を伝えた。

 会談では、「徴用」問題について、ユン大統領が先月発表した解決策について直接説明し、岸田首相はこれを評価するとともに着実な実行への期待を示した。両首脳は、「徴用」問題以外にも多くの課題や懸案があることも認識しつつ、「最大限努力して協力していく」という共通認識を示した。

 安全保障面では、北朝鮮が弾道ミサイル発射など挑発的な行動を繰り返す中、日米韓3カ国の連携強化が必要だという見解で一致した。両国は5年ぶりに「日韓安全保障対話」を再開させる方向で調整しており、中国や北朝鮮に対する抑止力を高める考えだ。

 経済面では、半導体や量子技術など先端技術分野で協力するため、「経済安全保障対話」の枠組みを創設することで合意した。また、両国間や地域全体で自由貿易体制やサプライチェーンの維持・強化に努めることも確認した。

 会談後に行われた共同記者会見では、岸田首相は「戦後最悪」と言われるまで冷え込んだ日韓関係が改善されつつあることに感謝し、「健全な関係づくりに向けて前進していきたい」と述べた。ユン大統領も「未来志向的かつ建設的なパートナーシップ」の重要性について話した。

 「日本は過去の軍国主義の侵略者から、普遍的価値を共有し協力するパートナーに変わった。日本との関係を発展させることは、韓国の国益だけでなく、地域と世界の平和と繁栄にも貢献する」

 「日本とは歴史的な問題があるが、それを解決するためには互いに尊重し対話することが必要だ。日本政府が韓国政府が提案した解決策を前向きに受け入れることを期待する」

 「日本とは安全保障や経済など様々な分野で協力できる余地がある。特に北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の台頭などインド・太平洋地域の安定に向けて、日米韓3カ国の連携を強化することが重要だ」

 このように、ユン大統領は日韓関係を未来志向で改善させるビジョンを表明した。これに対して米国務省や日本政府も歓迎や支持の意向を示している。一方で韓国最大野党や一部の原告団体などからは批判も出ている。

【編集:af】

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