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【コラム】地下鉄無料化は、高齢者労働者の源・韓国
配信日時:2023年5月4日 7時00分 [ ID:8885]

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 韓国では、高齢者の地下鉄無料乗車券の「財源」を、国が持つべきか自治体が持つべきか、揉めている。といって、40年ほど前から始まった65歳以上の国民の無料乗車制度をやめるわけにはいかない。開始年齢を上げてはとの案も出ているが、そうはできない事情もある。

 地下鉄を利用しての「シルバーデリバリー」という高齢者のお仕事がある…念のため、日本におけるデリバリーされるオネエチャンのオバアチャン版ではない。書類、花や手荷物サイズの小包を、高齢者たちが、地下鉄を駆使して宅配している。地下鉄代がかからないために、足腰がしっかりしていれば、かなり稼ぐことができる。

 こういう高齢者にとって、地下鉄無料化年齢が引き上げられると死活問題になる。ソウル市に関しては、無料ではなく3割は負担してもらえないか案を出した。たとえ3割でも…日本の健康保険が、1割から2割、さらに3割にスライドしていくのにかなりの時間がかかったことを思い出してほしい。年齢が引き上げられると、従事者が80代とか足腰がそうでもなくなる時期の仕事になるので、このシステムが成り立たなくなる可能性だってある。

 「シルバーデリバリー」の経営者も、地下鉄無料化だから、雇用ができると悲鳴を上げる。そこそこ稼ぎたい人、がっつり稼いでいる人…守られているようで守られていない最低値金銀以下で働かせていて、交通費も出さないでいいから成り立っている。それを交通費は支払う若年層では、バイトにもなりえないのだ。…高齢者を指名してまで宅配を頼むのは、会話を楽しむことなどプライスレスのサービスを求めている顧客だから。

 尚、日本の地方都市でもバスなどの高齢者無料制度があったが、財政難で…例えば仙台などでは、乗車カードに1000円チャージすると1100円分乗れるにいつしか変わって行って、一駅でも乗っていた高齢者が出かけなくなった。そんな実例もある。

【編集:fa】

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