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NPO法人セブウィッシュ、ラーメン屋台もうすぐオープン:雇用を守るための新たなる挑戦
配信日時:2024年5月27日 10時00分 [ ID:9731]

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フィリピン人スタッフを日本へ連れて行ってラーメン屋巡り

 2024年5月29日にNPO法人セブウィッシュは、小さなラーメン屋台を開店する予定です。昨年11月から試行錯誤を重ね、ようやく開店にこぎつけるまでの道のりを、同法人の日本人理事に伺いました。

 アイディアの発案

 2023年末、マクタン島内の経済特区にある日系企業が業績不振により閉鎖されることになりました。活動資金調達のため、その企業の社食を運営していた私たちは、余剰人員を抱えることになりました。解雇は正当な理由があるため簡単でしたが、雇用していたのは低学歴で貧困層出身の人々が多く、その後の仕事が見つかるかどうかも不明でした。そこで、雇用を続けるために何ができるかを解雇対象のスタッフと話し合った結果、店のガラクタ置き場になっている場所を改装してラーメン屋台を始めることに決まりました。

 準備段階

 もともと素人が飲食業に手を出すのは危険だと思っていました。コロナ禍で近所の和食店が閉鎖になり、そこで解雇された人たちに頼まれて小さな食堂を開店した経験もあり、飲食業の難しさは身にしみて感じていました。ですが、スタッフがやってみたいというなら一度も二度も同じだと覚悟を決めました。ラーメンとはほぼ無縁の家庭で育ち、家族でラーメン屋に行ったのも一度きりでした。ラーメンの作り方も全くわからないところから始めましたが、素人考えでヌードルメーカーを4台購入。しかし、出来上がった麺はコシがなく、ゆでると5センチほどに切れてしまい、さらにベタベタになって食べられるものではありませんでした。また、スープとタレが別々に作られていることも知りませんでした。インターネット検索で調べても、情報が異なりさらに混乱しました。

 そんな時、帰国した際に出席した同窓会で、幼馴染がラーメン店を数店舗展開する経験を持っていることがわかり、藁にもすがる思いで相談しました。彼は親切に数週間にわたり、自分の店の秘伝を惜しげもなく提供してくれました。それをセブに持ち帰り試しましたが、とんこつや鶏ガラの品質や価格が安定せず、なかなかうまくいきませんでした。また、宗教的に豚が食べられない、アレルギーで鶏が食べられない人たちがいることがわかり、彼に相談し、野菜たっぷりの魚介の出汁でスープを作ることに変更しました。麺に関しては、機械ではなく手揉み足踏みで作ってみたところ、その方がうまくいきました。タレも彼の秘伝のレシピを教えてもらいました。市販の麺やタレを使えば簡単でしたが、コストを抑えて地元の人に少しでも安く提供したいという思いから、あえて自分のところで作ることを選びました。

 また、かん水を使わずに他の物を使ったところ、偶然にも伸びないラーメンの麺ができました。さらに、普通の麺では競合他社との差別化が図れないと思い、セブウィッシュで石けんを作っていた時に好評だったモリンガと活性炭の麺を作ってみようと思い立ち、試してみたところこれが意外にもスタッフに好評だったので取り入れることにしました。

 アイディアを思いついてから4ヶ月、毎日空いている時間を試作に費やしました。また、日本に数回にわたりフィリピン人スタッフを連れて行き、ラーメン屋を巡って食べまくりました。その結果、体重が10キロ近く増えてしまいましたが、得た知識と経験は貴重なものでした。

 ラーメンのメニューは基本の塩、しょうゆ、味噌をスタッフに試してもらったところ、塩はあまり好評を得られなかったことと、透明なスープ(清湯)を作ることが難しかったので省き、白く濁ったスープ(白湯)で応用できるしょうゆ、味噌、そして辛いものが好きなフィリピン人の嗜好を取り入れて担々麺。一度スープを切らしてしまった時に担々麺のタレで麺を和えて出してみたところこれが意外に好評だったので、汁なし担々麺を加えた4種類をメニューにすることにしました。

 しょうゆダレは前日から昆布やしいたけ、鰹節、煮干し、あご、かつお、貝など数種類の魚介から出汁をとり、濃い口と薄口の醤油をブレンドしたものを基本にしています。味噌ダレや担々麺のタレは様々な調味料やスパイスを加え、じっくり弱火で火を通したもの。いずれのタレもある程度寝かせてから使うと味がまろやかになるので、すでに仕込みを始めています。

 サイドメニューとして、餃子、からあげ、手羽先などを予定しています。餃子は浜松餃子の有名店と宇都宮餃子の有名店からレシピを提供してもらい、フィリピン人スタッフがアレンジして自分たちがおいしいと思うものに仕上げました。からあげは様々な粉を試し、冷めてもおいしいブレンド粉をシェフが開発しました。手羽先はスタッフと名古屋へ行った時に入った手羽先の有名店の店長さんが、私たちの活動を知って特別に社長へ話を通してくれたレシピを使わせていただくことにしました。

 日本で日本の材料を使えば味の再現はある程度までできますが、セブで手に入る材料でとなるとなかなかうまくいかず、現在も改善を続けているため、手羽先の提供は少し先になるかもしれません。

 次回へ続く

 次回は、店舗作りから開店までのエピソードをお届けします。

【編集:Y.K】

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