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【ミャンマー】ネピドー温泉ルポ、首都山奥の秘湯は驚愕の露天風呂
配信日時:2016年7月10日 9時00分 [ ID:3566]
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2016年7月6日、ミャンマーの首都ネピドー郊外の山奥にある秘湯に訪れた。「ネピドー温泉」として知る人ぞ知るスポットだが、公共交通がないうえ、所在地がはっきりしないため、訪れる人は少なかった。ミャンマー人の間でもあまり知られておらず、ガイドブックにも載っていない。まさに秘湯といえる。
インターネットで見つかった2010年のオープン時の新聞記事を頼りに、ネピドーに赴く。記述からすると、ネピドーから北東の方角の山中にあるらしい。ネピドーのホテルで尋ねると、心当たりがあるという。ただ、「車で2~3時間かかる」など大雑把な説明で、やはり場所ははっきりしなかった。
ホテルからタクシーで温泉まで行ってもらうように交渉する。はじめは往復150ドルということだったが、安い車種を頼んで90ドルまで値切った。ネピドーの道路は道幅が非常に広い。ほとんど車が通らないのに、片側4車線は当たり前。国会議事堂前に至っては片側10車線だ。まっすぐに伸びる道路を100キロ以上で飛ばす。
しばらくすると、市街地を抜け、山道に入る。そのままつづら折りの小道を1時間ほど走ると、「ネピドー・ホットスプリング・リゾート」という看板が目に入った。ネピドー市街から1時間半というところだろうか。山の谷間にあり、日本の田舎を思わせる緑の山々が美しい。時を同じくして、乗合トラックでやってきたミャンマー人の団体客も到着した。
車が止まると、おもむろにスタッフの男性が近づいてきて、500チャット(約45円)を支払うように告げられる。入場料ということだった。特に受付があるわけでもなく、スタッフが客の来るたびに集金するシステムのようだ。タオルやせっけんなどのサービスはない。もちろん、携帯電話は通じない。ただ食堂はあるので、食事はできる。
敷地の奥に、湯気が立ちのぼる場所があった。源泉に違いない。近づくと、池の中ほどから、ぼこぼことお湯が沸いている。ほのかに硫黄のようなにおいが漂う。源泉は約90度といい、もうもうと白い湯気があがっていた。池を囲む柵には「卵をゆでないでください」とミャンマー語で書かれた看板があった。ミャンマーにも温泉卵を作る人がいるらしい。
さて、どこで入浴するのだろうかと周囲を見回すと、あそこが風呂だろうか、と思わせる場所があった。もしや、と思いそばに寄ってみると、困惑せざるを得ない露天風呂が広がっている。確かに露天風呂だ。しかし、それよりもわかりやすい表現は間違いなく「プール」だろう。屋外プールだ。10メートル以上の大きさの水色のコンクリートの楕円形の囲いの中に、お湯がたまっている。それこそプールにあるような金属製の手すりと梯子が水中におりている。こうしたプール風露天風呂が少なくとも3つあり、その日はそのうち2つにお湯が張ってあった。
そのプール風の風呂には、ミャンマー人がTシャツや伝統衣装の巻きスカート姿で入浴していた。肌をさらすことを嫌うミャンマー人は、プールや海水浴も着衣で入る習慣がある。服がぬれることを避けて足湯のように足だけ浸かっているミャンマー人もいた。
とりあえず、トイレ兼更衣室のような場所で水着に着替え、入浴してみた。日本の温泉のような熱さはないが、まあ暖かくて快適という程度の水温だ。これも温水プールのようなものかもしれない。深さは軽く1メートル以上はあり、泳ぐこともできる。
スタッフに尋ねると、貸し切りの個室の浴槽もあるという。1人1000チャット(90円)と非常に良心的な価格設定だ。ネピドーからの往復の交通費を考えるとタダ同然に感じるが、一方でこの温泉の経営は大丈夫なのかと心配になる。
個室には、2メートルほどのコンクリート造りの浴槽があった。客が来てからお湯を張る。スタッフが何やら裏で操作をして、お湯を流すのだが、なかなか熱くならない。10分以上格闘して、やっと熱湯がでるようになり、湯船があたたかくなってきた。
湯量は十分で、浴槽も大きくゆったりと浸かることができる。湯は透明で味がしない。温度調節に手間取ったため若干ぬるめだが、これはこれで快適だ。ヤンゴンの住宅では浴槽がないところが多いため、風呂に入れるだけでも天国のように感じる。成分表などはないので、どのような泉質かわからないのだが、肌がすべすべになったような気がしないでもない。
入浴を終え、この温泉の場所や連絡先をスタッフに尋ねたのだが、住所がわからないという。施設の電話番号を訪ねると、代わりに自分の携帯電話を教えてくれた。
やはり秘湯は秘湯、ということなのだろうか。こんな感じなので、読者にネピドー・ホットスプリング・リゾートの詳細な情報を提供することができない。興味のある読者は、ネピドーについてからホテルやタクシー運転手などから情報収集し、1時間半の山道を登って行ってほしい。
【執筆:北角裕樹】
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