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【タイ】11万人の忘れられた難民 ーミャンマー国内の和平プロセス未だ道半ば
配信日時:2015年10月7日 7時23分 [ ID:2615]

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タイ国内には9カ所のミャンマー難民キャンプが存在し、約11万人の人々が暮らしている。ミャンマー国内における民族間の対立に起因して、1984年ごろからタイ国に流入する人々が増加し、難民キャンプが形成された。

 2015年10月7日、タイ国とミャンマーの国境付近に、現在もミャンマーから流入して来た人々が居住する「難民キャンプ」が存在することは、日本ではあまり知られていない。

 タイ国は「1951年 難民の地位に関する条約」および「難民の地位に関する1967年の議定書」(通称、あわせて『難民条約』)に批准しておらず、タイ国政府は彼らを正式に難民として認定していないものの、難民キャンプ(政府による名称は『一時収容所』Temporary Shelter)を許容し、事実上、多数の難民を受け入れてきた国家だ。

 現在、タイ国内には9カ所のミャンマー難民キャンプが存在し、約11万人(2015年7月現在/TBC発表)の人々が暮らしている。ミャンマー国内における民族間の対立に起因して、1984年ごろからタイ国に流入する人々が増加し、難民キャンプが形成されたのである。これらキャンプは実に30年以上にわたって存在しており、ミャンマー難民が「忘れられた難民」と呼ばれる所以である。

 ミャンマー国内には130を超える民族がおり、1948年にビルマ連邦が英国領から独立したことをきっかけとして、民族間の対立が続いてきた。2015年3月末には全土停戦合意の草案が調印されたが、その後もイスラム系少数民族であるロヒンギャ族が周辺海域に漂着したり、7月にはタイ北西部メソットから50kmに位置するコーカレー地域でも衝突が発生したりするなど、現在も不安定な状況が継続している。

 このような状況のため、タイ国内のミャンマー難民にとって、本国ミャンマーは「安住の地」ではなく、インフラ・教育・医療などの整備も遅れているため、本国帰還が進んでいないのが現状である。しかし、世界各地より自国内の状況が比較的安定している現在のミャンマー難民に対しては、国際社会からの支援は縮小傾向。

 その一方で、昨今では、耕作地の荒廃や産業の未整備による仕事不足、基礎教育・医療設備の整備の遅れなどを理由として、新たに流入してくる難民が存在することも事実である。また、両親が自国に残ったまま、子どもはキャンプ内の学校で教育を受けることも散見されるなど、難民キャンプを取り巻く環境は複雑だ。

 長引く混乱と対立のため荒廃し、居住地の有無も保障されていない本国は帰還できる状況ではないにも関わらず、第三国定住の受入れは減少している。そのようなジレンマに陥っているのが、タイ国内にあるミャンマー難民キャンプの現状と言える。

 世界中には21世紀の現在も、多くの悲惨な紛争が繰り広げられている。紛争や難民の問題は、どこか特定の人々・地域だけではなく、世界全体で取り組む大きな問題となってきている。日本政府も従来の開発協力スキームのほか、日本財団やジャパンプラットフォームを通じて、ミャンマーの和平プロセスや帰還民支援のために数百億円規模の支援を行ってきた。しかし、送り出し国、受け入れ国、世界の情勢等様々な要素が複雑に絡む。この難民問題は簡単に解決できる問題ではない。長期で取り組む必要があり、タイ国内のミャンマー難民問題の解決も、ミャンマー難民の本国帰還に必要なミャンマー国内の和平プロセスも、現在未だ道半ばだ。

【執筆:澤村 裕美】

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左から:タイ国際航空 中部地区旅客営業部長 平田勝則氏。タイ国政府観光庁 大阪事務所長 タナワディー スックサクンワット氏。愛知県 都市・交通局 港湾空港推進監 西村 薫氏。在名古屋タイ王国 名誉総領事 三輪 芳弘氏。タイ国際航空、日本地区統括 トリティ・サワディゴーン氏。中部国際空港 代表取締役社長 犬塚 力氏。日本旅行業協会 中部事務局長 星野 道佳氏。国土交通省大阪航空局中部空港事務所空港長 渡邉 智史氏。