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【タイ】製作費約125万円の映画が大ヒット
配信日時:2014年7月2日 18時27分 [ ID:663]

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映画の撮影風景。のどかな背景や女優たちの衣装にも親近感がわく。

 2014年6月末、タイでは『トランスフォーマー』最新作や『キングナレスワン』といった多額の予算で製作された大作が、当然のごとく興行収入ベスト5に名を連ねた。その中で総予算40万バーツ(約125万円)という低予算の映画が第5位の興行成績をあげ、話題になっている。

 その映画は『プーバオタイバーン』。田舎の自由な若者たちという意味がタイトルの映画は、その画面の中で、田んぼの中で昼食をとり、歌謡曲ルークトゥンで踊り、きらびやかなタイのオペラのようなリケー(大衆演劇)役者に見とれている。それらの全てが「これがイサーンだ」と訴えかけてくる。

 イサーンと呼ばれるタイ東北部が舞台のこの映画は、全編を通してイサーン語と呼ばれるラオス語に近い東北方言が使われている。そのため、タイ語の字幕が常に流れている。

 映画の随所に散りばめられたコメディーのシーンもうまくストーリー溶け込んでいる。40万バーツという低予算で、バンコクの映画館で大きな観客動員を果たした。

 どうして、イサーンのような田舎が舞台の映画が、これほどまでに受け入れられたのだろうか。

 監督のウテン氏は、タイ東北部コンケーン出身。自らのアイデンティティーであるイサーンを映像化することは、自分がこれまで見て来たことをそのまま画にしただけだったようだ。歌手が東北方言で歌う伝統歌謡モーラムの響き。そのシーンはどの台詞よりも雄弁で圧倒的な力を持って劇場全体に響き渡り、観客に迫ってくるのだ。

 物語は、田舎の村で暮らすトンカム。彼は映画監督になることと、海外で暮らす彼女と10年後に一緒になることを夢見ていた。そこへ彼女が外国人の彼氏を連れて帰郷。彼女が外国人の恋人とトンカムの間で揺れ動くさまをコメディーを交えながら描かれている。そして、見終わった時には、イサーンソーセージとモーラムの音色が恋しくなっている。


【執筆:そむちゃい吉田】

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