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ラオス南部サワンナケート紀行(3)〜変わる町変わらない人々
配信日時:2023年6月15日 7時00分 [ ID:8994]

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町中に残る古き時代を思い起こさせる建物もいずれ消えていくのだろう(そむちゃい吉田撮影)

 2023年6月5日から4日間をかけて、3年ぶりにラオス南部のサワンナケートを訪ねて来た。新型コロナの間にこの閑静な街がどう変わり変わらずにいたのか。サワンナケートの町に着き、バスターミナルから20分ほど歩いた宿にはチェックインしたものの、前日からの長時間の移動でクタクタだった私は、その日はそのまま部屋で引き籠った。

 夕方になり空腹を覚えたわたしは、夕食をどうするか悩むことになる。バスターミナルから近いとはいえ、宿の周りには何もないのだ。そして、20分以上歩いて食堂を探す体力もなかった。そんな時にバスターミナルを出てすぐに見つけた広告看板を思い出した。Food Panda。新型コロナで外出が制限されていた時に、バンコクではいつも世話になっていたフードデリバリーが、ここサワンナケートにも来ていたのだ。試しにスマホのアプリを見ると、ちゃんとレストランのリストとメニューが表示された。

 しかし、表記はほぼほぼラオス語のみ。基本的なガイド文的なところは日本語でも表示されているが、料理名や店名はラオス語だったのだ。幸いラオス語は以前少し勉強したので、今でも読むことができる。とはいえ、だいぶ錆び付いていたので、わかるのは6割くらいで、残りはヤマカン。ただ、料理は写真で選べたので、タイに住んでいてこのサービスを使ったことがある人なら、そのまま使えると思う。注文したのはガイヤーン(ラオス語でピンガイ)とカオニャオなど数点。配達料込みで10万キップだったが、支払いはタイのバーツでちょうと200バーツ(約800円)だった。

 新型コロナ以降、ラオスの通貨キップが暴落した。コロナ前は10バーツ=2500キップくらいだったのが、10バーツ=5000キップほどになっている。そのため買い物などでキップのお釣りをもらおう物なら、何十枚もの札束を受け取ることになるのだが、幸いにタイのバーツもそのまま使えるので、滞在中はなるべくお釣りが少ないよう計算しながら過ごした。

 翌日は午前中に所用を済ませてから、町を散策してみた。いつもなら川から10分ほどのエリアに宿を取るのだが、今回は予約が遅れたため川からはかなり離れている。ただその分バスターミナルまで歩いて行ける距離ではあったのだが。メコン川に出る直前、恐竜博物館を通りかかった。小さな古びた建物で、看板に気がつかなければそのまま通り過ぎてしまうような建物が、この町唯一と言っていい観光スポットだ。サワンナケート県内で見つかった恐竜の化石が展示され、学芸員が直接説明してくれるそうだが、この日はすでに閉館した後だった。恐竜に興味があり、タイ語か英語がわかる人には貴重な話かも知れない。しかし、施設面で言えばタイのコンケーンに行くべきだろう。

 遥か昔の古代。インドシナ半島は、インドネシアのジャワ島やボルネオ島、スマトラ島などと陸続きで、スンダランドと呼ばれていたそうだ。それは縄文時代に氷河期が終わり、大規模な海面上昇が起きて、今の地形になったと言う。つまり、インドシナから台湾や沖縄まで陸地が繋がっていて、日本の九州にもそのまま歩いて渡れた。日本人の起源とされる中に、こうして南から渡ってきたルートもあったに違いない。そして、人類が現れる以前から同じこのインドシナ半島一帯に多くの恐竜が生息していた。タイやラオスで今も発見される化石にはこうしたロマンを感じながら、さらに歩いた。

 サワンナケートの街角には、かつてフランス統治時代の建物もまだ残っている。かなり老朽化していて薄汚れてはいるが、かろうじて残っている。町歩きをしているとそんな風景にも出くわす。こうした建物ももうすぐ建て替えられ、新しくなっていくのだろう。そしてまた、すれ違う子どもたちに「HELLO!」と挨拶される。タイの地方よりも、さらに時間がゆっくりと流れているような町には、変わる物と変わらない人々が、ゆったりと同じ時間を過ごしているようだ。

つづく

【執筆:そむちゃい吉田】

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