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ラオス南部サワンナケート紀行(5)〜帰りの道すがら考えたこと
配信日時:2023年6月17日 8時30分 [ ID:9001]

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町中では電動バイクが増えていた。

 2023年6月5日から4日間をかけて、3年ぶりにラオス南部のサワンナケートを訪れて来た。新型コロナの間にこの閑静な街がどう変わり変わらずにいたのか。整備されたメコン川沿いの行き帰りに町中を歩きながら気がついたことを書いてみる。

 町を、というか路地を歩いてまず気がついたのは、電動バイクを多く見かけたこと。バイク販売店でも、中国製の電動バイクが並んでいたことだ。昨年は通貨キップが暴落したと同時にラオス全土でガソリンが不足し、パニックになったことも影響しているのだろうか。のんびりと歩いたサワンナケートの町中は、表通りは歩道もきれいに整備されている。しかし、細い路地に入っていくと、まだ舗装すらされていない赤土の道もある。

 市場近くの商店街には、新しくSUSHI HANAという日本料理店ができていた。入って食べることはしなかったが、デリバリーメニューを見ると寿司のほかにも丼ものやラーメンもあるようだ。同じ通りには、ローカルな感じのSUSHI店も見つけた。こちらはタイでも増えている1つ5バーツ(約20円)程度の廉価版。大パックが50バーツほどだったが、グルメな日本人にはお勧めできない。

 それにしても、夕方の買い物客や行き来する人々を見ていて、女性の民族衣装「シン」をほとんど見なかったのは寂しい限りだ。今回の滞在中も、女子高生の制服のほかには、お役所に出入りする人たちくらいしか見かけていない。食べ物も、衣服も、タイの影響を色濃く受けているラオスだが、彼ら自身のアイデンティティーをどのように伝えていくだろうか。道路や鉄道といったインフラを整えることとは別に守るべきものもあるはずだ。

 10年ほど前にラオス北部サムヌアの山中で水汲みの子ども達と出会った。南部セコンでは川で捕まえたナマズを持って家に帰る途中の女の子にも出会った。食べるということに多くの時間と労力を使わなくてはいけない暮らしがそこにあった。それでも子供たちは、笑顔で楽しそうだった。そこには、人として大切なものが残っているように思えた。勝手なことだが、彼らはそのまま外の世界などを知らずに、そのままの生活を続ける方が幸せに生きることができるのではないだろうか。豊かに恵まれているはずなのに、幸せだと感じることができない日本人の姿と見比べると、本当の価値や幸福というものが、わからなくなってくる。

 そんなことを思い巡らせながら、ゲストハウスへの帰路を歩いているとMARUHAN銀行の看板を見つけてしまった。かつてここに支店があったのだろうが、残された看板だけがそれを知らしめていた。それはまるで、薄れ行く日本のプレゼンスを象徴しているかのようだった。

つづく

【執筆:そむちゃい吉田】

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